九州大学
自己採点 60%

 入試数学滅多切りの記念すべき第一回は九州大学であります。
 九州大学は第四の旧制帝国大学であり、その起源は1867年に黒田藩が設置した医学の藩校「賛生館」にまで遡る、歴史の深い大学です。
 この大学で顕著に現れている近年の大学の動向として、大学院重点化が挙げられます。もっと良質な研究者を育てるために、大学院を中心とした構造に大学全体を変えていこうというわけです。「大学四年で就活」という従来の価値観が根強く残るリアルな日本社会の現状とどのような摩擦が起こっていくか大変見物ですが、学問はパンピーが考えているよりずっと進んでいてそう簡単には習得しきれなくなりつつあるということなのでしょう。


 話は変わりますが、九州といったら、真っ先に思い浮かぶのがラーメンですね。筆者は辛いものが苦手なので、明太子は思いつきませんが、何か?博多ラーメンと呼ぶ場合と長浜ラーメンと呼ぶ場合がありますが、厳密には両者は違っているという説もあるそうです。まあ、どちらにしろ美味しいので問題は無いのですが。


 さて、本題に移りましょう。やってみた感想としてもっとも強いのは「私も落ちたものよのう。」ということです。もちろん、今年の問題は昨年度より難化していました。しかし、60%ってのはこれはもう、ね。現役浪人生(笑)のときならば、医学部に入れる実力もあったはずなのに、遊びすぎたということでしょうか。あの頃のように勉強して、京都大学に着くまでにはかつての感覚を取り戻したいと思います。
 全体としては、問題番号をおうごとに難しくなっていくという非常にわかりやすい構成になっています。医学部以外なら、2番までを確実にすれば60%は取ることができますから問題無いでしょう。


各問講評

第1問 ベクトル・最大最小
 (1)のCの座標を求めるときに直線の式を使っている解答が多いのですが、個人的にはベクトルのまま処理する方が簡単だと思います。変数の個数は複雑にならない限り必要最小限にとどめた方がミスが少ないと思うからです。今はまだ問題無いですが、直前期にはこういう簡単な問題でミスをしないように詰めていくことをお勧めします。

第2問 確率漸化式
 普通の確率漸化式の問題ですが、ミスを誘発する構造になっています。注意しましょう。(3)をkのまま処理する解答が目立ちますが、こういうときは素直にk=2m,2m-1と置いた方が見通しが立ちやすいです。偶数や奇数単体より、自然数の全体の方が扱いやすい場合の方が多いのですから。

第3問 微積分
 標準的な問題ですが、これもミスを誘発します。世に出回っている解答には、実はツッコミどころがあるのですが、細かすぎると逆に怒られてしまいそうなのでやめておきます。

第4問 行列
 この問題は難しいのですが、こういう新たな視点を与えてくれる問題は好きです。この問題では、ベクトルを行列として表記しています。大学に入ると、先生方が今までとは違った表記の仕方を繰り出してきて戸惑う人たちがたくさんいます。「そういう表記法があるのですか?」などと愚かな質問をする人たちも出てきます。そんなとき、このしがない大学生が書いたしょうもない批評をふと思い出して下さい。表記法なんてTPOによって変わって当然なのです。極端な話、集合でも行列でもベクトルでも、ことわりさえすれば小文字細字のxで表していいのです。肝心なことは中味を理解することです。決して本質を見失わないようにしてください。

第5問 微分・最大最小
 今はどうか知りませんが、去年までは加速度は指導要領内でした。非常に複雑な計算なので、筆者のように計算演習をさぼっていると、悲惨な結果が待ち受けています。




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